RME製品でDiscordを使用した際、ボイスチャット時に相手の声が聞こえないトラブルの対処法について。解決法を詳述した記事が現状無さそうだった為、出来るだけ分かりやすく記載したいと思います。
Contents
Discord + RMEの問題と背景
※この節は、問題解決に至るまでの私の思考プロセスを書いています。早く解決策を知りたい方は、以降の節に飛んでください。
先日私はRME Babyface Pro FSを購入しました。人気の高い定番オーディオI/Fですが、現在品薄でなかなか手に入らない代物。これが折角手に入ったので、使い心地のレビューでも…と思っていた矢先、トラブルに見舞われました。
友人とDiscordでボイスチャットをしようとした時のこと。
相手の声が聞こえないんです。自分の声は相手に届いているにも関わらず。
不思議だったのは、相手の声以外の音は全て聞こえている点。Discord以外の音のみならず、Discordのシステム音も聞こえます。またDiscordは誰かが喋ったとき、その人の音声信号が入力されていることを視覚的に見せてくれるのですが、お互い問題なく音声は入力されています。よって相手のマイクがおかしいということはありません。
しかし、何故か相手の声だけが聞こえない。。
その時は一旦、以前使っていたscarlett 2i2に接続し直して通話しましたが、いちいちDiscordのときだけ別のオーディオI/Fを使うのは面倒です。それ以降、解決の為に色々調べたのですが、なかなかドンピシャの記事が見つからず、解決には骨が折れました。
最初に一番近しいなと思った記事は、Shyntax公式によるRME OBS Macの組み合わせの不具合事例への対処法。
要約すると「OBS側に問題・バグがあるから、フリーソフト2つ使って問題を回避する」というもの。
但しこれをそのままトレースしても、Discordの問題には対処できません。こちらは音声入力側の問題への解決策であり、出力側では無いからです。私の場合、マイクは入っているので入力側は問題ありません。出力側、つまりDiscordの音が拾えないことが問題なのです。
少し応用すれば対処出来そうかな、と、その時は思いましたが…そもそも私自身TotalMix (RME製品付属ソフトで、音のコントロールは全てこれでやる)も、公式が言っているフリーソフトも使ったことがないので、なかなか解決に向けたイメージ案が沸きませんでした。
更に調べていたら、漸く同じ問題について説明されている以下の記事を見つけました。Mac+Discord+RME製品で音が出ない問題 by Liq x Liq. (現在は記事が無くなっております)
同様の問題が起きて、上述のOBS事例を参考に解決した、という旨の記載があります。
こちらの記事は非常に参考になりました。まず、OBSと同じ現象 (オーディオI/Fの最初の2chしか認識しない問題) がDiscordにも起きていると推測されていること。加えて、上述OBS事例を元に自力で解決されていること。
試しにWindowsでVTube等の配信をされている人向けの解説ページを確認してみると、確かにDiscordのサウンド設定表示がMacと違いました。Windowsなら16chまで認識しているところ、Macではそもそもチャンネル表示がされていません。ここまで来てやっと、こういうことか、と、理解することが出来ました。
つまりMacユーザ限定の問題、より正確にはMac版Discordの不具合で、MacやRME製品に問題があるわけではありません。上述の記事にも
「Mac オーディオI/F使ってるユーザーなんてそもそもDTM用途の人ばっかだろうし、基本windowsよりかはその手のトラブル起きにくいと思ってるだろうから答えにたどり着くのが難しそう。」
http://inktrans.net/macdiscordrme/
とありますが、ホントその通りで。。まさかWinならOKでMacならダメなんて考えもしなかったです。
…はい。ここまで、前置きが長くなってしまいましたが、これ以降は解決策についてまとめます。
解決策A: Discordの通話で、相手の声が聞こえるようになる設定方法
通常、Discordの音声設定は、入力・出力デバイス共に、使用しているオーディオI/Fを指定していると思います。しかし、Mac版Discordではマルチチャンネル対応のオーディオI/Fを恐らく想定しておらず、これでは上手くいきません。よって、無理やり違う出力デバイスを指定するのがゴールになります。
以下は私が使用しているBabyface Pro FSの例になりますが、RME社製品であれば同じことが出来るはずです。
2つのフリーソフトをインストール
まずはBlackHoleとLadioCastをdownload, installします。
BlackHoleは、仮想のサウンドドライバです。最終的にDiscordの出力デバイスにはBabyfaceでなくコイツを指定してあげることで問題を回避します。
LadioCastは、TotalMixと似たような機能を持っています。Mac上で音をルーティング出来る、まあミキサーみたいなものです。Discordの出力デバイスとしてBlackHoleを指定しただけでは、音が出ませんので、LadioCastを使って、BlackHoleに来た音を、Babyfaceに流してあげるのです。
BlackHoleのインストール手順
BlackHoleのインストール先は以下。
https://github.com/ExistentialAudio/BlackHole
‘Download Installer’ からダウンロードします。下図の赤枠のところです。
その後は画面の指示通りにメアド, 姓名を入力し、’Subscribe for free Mac download’ をクリック。
ダウンロード時には、2ch, 16ch, 64chの3つが選べますが、とりあえずDiscord通話問題の解決だけであれば、2chのみを落とせばOKです。但し、通話時に自分の音声を加工したい場合は、2chに加え16chも落としましょう (このやり方も、後述します)。
ダウンロード出来たら、インストーラを起動してイントールすればOKです。
LadioCastのインストール手順
LadioCastのインストール先は以下。
https://apps.apple.com/jp/app/ladiocast/id411213048
こちらはApp Storeからのdownloadなので、難しくないと思います。
(参考) TotalMixの設定を確認する
自分のマイク音声を加工しない場合は、特別な設定は不要です。Macの音が聞こえており、マイクの音が入力されていればOKです。つまり、この不具合に直面している時点でそうなっているはずなので、何ら問題は無いということです。
一応、参考までにセッティングの一例を貼っておきます。吹き出しの番号順に確認していきましょう (初手が一番下なのでご注意!)。
※マイク音声を加工したい場合のセッティングについては、後述します。
LadioCastの設定を行う
LadioCastを立ち上げて (アプリケーションフォルダの中に入っています)、以下の図のように、‘入力1′ を’BlackHole 2ch’, ‘出力1’ を ‘Babyface Pro’ に設定します。これで、BlackHole 2chが受け取った音は、Babyfaceへ流れていき、TotalMixでキャッチできるというわけです。
Discordの音声設定を行う
最後に、Discordの音声出力デバイスを、 ‘BlackHole 2ch’ にします! (Discordを開いて、左下の歯車アイコンから ‘音声・ビデオ’を選択すると、’音声設定’ の ‘出力デバイス’ が選択可能)
入力デバイス (=マイク) は、今まで通りBabyfaceでOKです。これで、問題なく通話が出来るはず。
解決策B: 更にマイクの音声を加工して、通話する方法
こちらは通話時の自分の音声を加工して相手に届ける方法…となりますが、後日記載します (この時点でちょっと力尽きたので、休憩させてください…)。
仕組みがわかりました、助かります。
解決策B: 更にマイクの音声を加工して、通話する方法
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こちらのやり方を是非知りたいです、よろしくお願い致します