M1 Pro / Max のDTM影響を考える

DTM

かねてより心待ちにしていたApple SiliconのMacBook Proが正式発表されました。以前の記事でも触れはしましたが、DTMにおいてこれは買いなのか?という点を改めて考察します。

想像以上に性能に振り切った仕様

M1 MacBook Airの特徴として、熱を持たないが故のファンレスというものがあったので、今回もその省電力性が謳われるのかなと思っていましたが、想像以上のパワーと消費電力だな、というのが第一印象です。特に、今に始まったことではないですが、映像方面への振り方がすごいですよね。(そうすれば結果的に他用途の需要も吸収できるのかもしれませんが、DTM的にはどうか、という情報を得るのには少し苦労する印象です。)
CPUコアにしても、高効率コアの数を減らして高性能コアに換えていることからも、出力重視であることが伺えます。
もちろん、結果的に従来と同じ消費電力でケタ違いのパワーを生み出すという点では、省電力性という観点でも凄まじいです。ただ、結果的に熱を生むのか、そしてファンはどの程度回り、どの程度音を出すのか、という点によっては、使用感もかなり変わってくるため、気になるポイントですね。

期待値との差異

以前の記事ではIntelチップのMBPとの比較を行いましたが、今回は事前予想に対してどうかという点を確認します。

△クラムシェルモードで使えるかは不明

ここは私が最もApple Siliconに期待した部分でしたが、現時点でクラムシェルモードで使えるほどの省電力性が備わっているかは怪しいです。表面上のスペックからでは何も分からないため、実機レビューが待たれるところですね。ただ、ファンが付いていることと、電源やCPUの仕様から察するに、基本的には開いて使うことを想定したほうが良いと思われます。

○Intel Macと比較してバッテリー持ちが良い

Intel MBP 16inchが11hだったのに対して今回のMBPは14inch構成で17h、16inchだと21hとなるようです。持ち出すならばバッテリー持ちは大事なので、これは嬉しいですね。

○スペック・外部I/Oともに充実

HDMIも刺さるので、desktop PCからの移行もすんなりできそうです。
スペック面は驚異的。特にメモリが化物であることは明白ですが、どのメモリのものを購入するかというのは難しい悩みです。例えば私のメイン機 (所謂ゴミ箱MacPro) には32GBのメモリが積まれていますが、それでも70トラックを超えてくると、カクカクすることは出てきます。これがメモリ容量の問題なのか、クロックや帯域幅の問題なのかは、使っていても正直分からないです。モンスターマシンなら解決するのか、それとも諦めてトラックをバコバコフリーズさせていくのか、悩ましいですね。
ただ、幸いにもメモリ32GBを64GBにしたときの価格差はそこまで大きくないので、予算ある中で迷ったらメモリは最高スペックで良いのかなと思います。
またストレージが8TBまで積めるのは素敵なポイント。自分で使っていて思うのは、外付けSSDは不便です。速度は落ちるし、取り回しも良くないし、Thunderbolt接続だと不安定 (接続切れたりする) だし、そもそもOSの入っているパーティションでないとインストール出来ないプラグインも多いです。
ストレージは金額にも大きく跳ねますが、特にlaptopで持ち出しを想定するのであれば、内蔵ストレージで完結させたいところですね。

△Apple Siliconに対するDTMソフトウェアのサポートは不足しているが、Rosettaで概ね何とかなる

M1という観点で言えば、Rosetta 2なら概ね動くようです。良くも悪くも、今後数年はRosettaで動かし続けるんでしょうね。。

×OSが最新のため、現行機からの移行には時間と手間がかかる

予期されたことではありますが、new MBPが即戦力になれない主要因はここにあります。新Mac OS Monterey搭載ですので、今すぐ現行の制作環境を移行することはできません。どのDTM系ソフトウェアも、すぐには付いていけないからです。

結論: 今すぐ買う理由は無し

今すぐnew MBPを買っても、DTMで使うためには、周辺ソフトウェアが対応するのを待つ必要があり、暫く先になります。その間に熱の持ち方なども見えてくるでしょうから、情報を集めつつ静観するのが王道の立ち回りということになりそうです。
唯一心配なのは、昨今の半導体不足による在庫切れですが、Appleほどの大手メーカーであれば、少ない中でも優先して確保出来るでしょう。半導体不足が影響する事業分野は多岐にわたるので、それでも尚品薄状態が続く可能性はありますが…少なくとも慢性的な品薄が続くオーディオI/Fなどに比べれば、まだマシになると予想します。
因みに、今すぐ買い替えが必要な場合は整備済Intel Macか、M1 MacBook Airが候補になってきそうですし、Desktopが欲しいという方は、iMacか、或いは今後登場するであろうMac miniを待つ、という選択肢になりそうですね。

尚、私の場合は、年内くらいまでに購入できたほうが(家庭事情的に)セットアップ諸々やりやすいのと、DTM関連以外で使い道が無くはないため、割と早い段階で買ってしまう可能性があります。いずれにせよ、待てる人は待ったほうが良いという感想であることに変わりはありません。

※2021年11月7日追記
実際にnew MBPを注文しました! 注文の内容については以下の記事をご覧ください。

IA x ロック、時々EDM。
ボカロ新曲MVはこちら。

moka

moka

作曲と映像編集。ぷよぷよS級リーグPVの映像やテーマ曲を担当。 DTMのニッチな悩みに刺さる情報を発信します。

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