モバイルDTM環境構築のために、eイヤホン秋葉原店様に赴き、様々なスティック型USB DACを視聴した結果、Violectric CHRONOSの購入に至りました。
この記事ではCHRONOSのレビューと、その他DACを視聴した感想を記します。
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DTMで求めるUSB DACの条件
そもそもDTMerが良く買うのはオーディオI/Fであり、わざわざUSB DACを買う人は少ないのかもしれません。ただ、基本打ち込みで録音あまりしないよ、という人にとっては、入出力が豊富である必要って無いんですよね。それどころか、音さえ良ければ入出力はどこまでも削られても良かったりする。
据え置きオーディオI/Fでも入出力少なめのものはあるので、家で作業する分には、そういったものを買えば良いです。但し、外出先でDTMをしようとすると、なるべくコンパクトであってほしくなりますが、、小さいオーディオI/Fって、一気に選択肢が少なくなるんですよね。
私も今まで、外出先でDTMするときは、SENNHEISER IE100 ProをMacBookに直挿しで運用していましたが、ちょっと最近それでは物足りなくなってしまいました。
そこで行き着く先はスティック型DACなのですが、逆にDAC界隈だとオーディオ好きの方々がターゲットの製品が多くて、DTMする人を狙った製品というのは、あまり聞かないですよね。
というわけで、DTMerにとって理想のDACとは、どういったスペックを有するのかを、まずは整理してみます。
モニターライクな音
作曲ですから、DAC側で着色されすぎると、モニターしようがなくなりますよね。この点がリスニング用途との大きな違いの一つ。
何がフラット、モニターライクなんだという話はありますが、ここではあまり考えすぎず、‘どこで何がどれだけ鳴っているか、という情報が、それなりに分かる’程度に思っておけば良いと思います。
一方で、音がつまらなすぎると、作曲のモチベーションを失いかねないので、ある程度テンションを上げてくれる音であってもほしい。この辺りはワガママですが、意外と大事かなと思います。
4.4mmバランス接続は不要
巷の流行りは、4.4mmのバランス接続のようですが、作曲用途を考えると、正直要らないです。作曲する側は、4.4mmバランスでどう聴こえるかには、あまり興味がありません。そんな環境で音楽聞く人は、一握りですからね。逆に4.4mmを用意されている製品だと、宝の持ち腐れ感を感じてしまいます。
モバイルDTM用途なら、コンパクトさも求めたい
これはまさしく私のニーズですが、外出先で手軽に使うためのUSB DACですから、出来る限りコンパクトなものが良いです。カバンに入るかという観点もありますが、外出先デスクのスペースを考えると、なるべく筐体も小さい方が嬉しいです。
主要スティック型DAC レビュー
さて、本題です。幾つかDACを視聴したので、(オーディオファンとしての感覚ではなく) DTMerの観点でレビューします。
また、私自身、大して耳が良いとは思っていません。寧ろ悪い方だと思っています。なので、以下のレビューは飽く迄参考程度にしかなりません。最終的にはご自身の耳で確かめることをオススメします。
視聴環境ですが、全てSENNHEISER IE100 Proでの視聴を行っています。
音源ソースは、自作曲です。
Violectric CHRONOS
視聴前の本命であり、実際に購入したのがこちら。USB DACにしては珍しくモニターライクなサウンドが出るとの触れ込みだったので聴いてみました。
音の印象ですが、確かに素直。直挿しに比べると、低音域を程よく持ち上げてくれます。出先のカフェ利用などでは、家の静かな環境に比べて低音は取りづらくなりますし、またイヤホン利用の場合も、やはり低音が取りづらいため、嬉しいポイントです。また中域・高域については音の解像度が増すので、ちゃんとマズい音はマズいと教えてくれます。
作曲用途に使いやすい一方で、つまらなすぎるということもなく、イヤホン直挿しに比べればテンションも上がります。総じて好印象です。
特に私の耳は、低音を取るのが苦手なので、低音を少しだけ持ち上げてくれるのは助かりますね。決して低音重視の作りというわけではなく、足りない部分を補ってくれているという印象です。
製品のデザインも、とてもクールでカッコいいですし、付属する3種類の短い接続ケーブルも、それぞれUSB-C, Lightning, Micro USB-Bのデバイスと接続することが出来て、非常に便利です。
尚、USB DACにしては珍しく、何のDACチップを使っているかを恐らく公開していません。ただ、オーディオI/Fを選ぶ上でそんなものを気にしたことはないし、いずれにせよ出ている音は良いので、私は全く気にならないです。
iFi Audio GO bar
個人的には1番評価が難しい製品でした。そもそも私は4.4mmバランスを持ってないので、3.5mmでの接続となります。その時点で製品のポテンシャルを発揮できていないのですが、作曲用途で4.4mmを採用することが無いので、仕方がありません。
第一印象としては、音との距離感を感じます。良くも悪くも、音が立体的になりますね。また、中域の解像度がモノスゴイ。驚異的な解像度と言って良いです。特にボーカルの帯域は、全部聴こえます。一方、もう少し高域になると、逆に絞られるんですよね。
低音はしっかりブーストされますが、ドンシャリではなく繊細な音を出してきます。ただ、聴こえやすい帯域と、隠れやすい帯域がハッキリしているのが気になります。
多分、ちゃんとミックスされたプロの音源をこれで聴くと、きっと楽しいんだろうなと思います。リスニング用途には良いのかもしれませんね。しかし、これで音楽制作するのはキツイなあと思いました。この製品は好みが分かれそうです。
Fiio KA1
低音を上げて、パワーを上げた、以上!というイメージに聴こえました。パワーがほしいイヤホン・ヘッドホンを使いたい時には手軽で使いやすいかもしれません。
ただパワー強め、かつ、筐体側にボリューム調整機能が無いので、そういう使いづらさは感じました。
MOONDROP MOONRIVER 2
番外編ですが、個人的に刺さったのはこの製品。4.4mmバランス接続可能ですが、やはり視聴は3.5mmで行いました。出音がとても好みで、中高域の透明感、かつ軽やかなノリを演出してくる感じ、大好きでした。これで音楽制作するのは難しいけれど、リスニング用に欲しくなりましたね。いつか買っちゃうかも。
難点としては、パワーがあるので低インピーダンスなイヤホン運用だと若干しんどいのと、使用中のLEDライトが眩しすぎる点ですね。まあ素敵な音しているので許せますけど。
結論: モバイルDTMerには嬉しいDAC
結果的に購入したViolectric CHRONOSですが、カフェなど外出先で打ち込みなどをする際には最適だと思いました。また、製品仕様上は600Ωまでのヘッドホンインピーダンスに対応しているようですから、製品を選ばず運用できる点も嬉しいところです。
私の手持ちヘッドホンは、そこまで高いインピーダンスのものではないですが、これを機に、折り畳める密閉型モニターヘッドホンを外に持ち出してみようと思いました。
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